山本義徳 コラム#5
2022.01.07
温泉卵は万能食
犬にドッグフード、猫にキャットフードがあるように、人間にもヒトフードがあっておかしくないはずです。むしろそうしたフードのほうが栄養バランスも考えられており、カラダに良いともいえるのではないでしょうか。
食材の中でもっとも完璧な栄養バランスを備えたものと言えば、卵が筆頭に挙げられます。欠けているのはビタミンCくらいで、タンパク質も脂肪もビタミン、ミネラルもすべて豊富に含んでいます。
ただし卵は調理方法に注意が必要です。特にダメなのが生卵。その理由を箇条書きで紹介します。
- サルモネラの危険性は日本では少ないが、それでもゼロではない。
- アビジンという成分がビオチンというビタミン様物質を破壊してしまう。
- オボムコイドという成分がトリプシンインヒビターとして働き、消化を阻害する。
- 上記のオボムコイドやアルブミン、リゾチームなどがアレルゲンとなる。
サルモネラ菌の危険性については良く知られています。海外で生卵が食べられないのはそれが理由で、ロッキーが生卵を飲んだシーンも、「食中毒を怖れないタフな奴」というアピールを兼ねていたのだと言われています。
オボムコイドについては知らない人も多いと思いますが、これはタンパク質の消化を邪魔してしまう成分だと考えてください。ある報告によれば、生の卵白を3個食べたとしても、1.3個ぶんは吸収されずに排泄されてしまうといいます。
サルモネラやアビジン、オボムコイドなどは加熱によって破壊できるため、そういった意味でも卵は加熱して食べるべきでしょう。
次に消化のスピードです。胃内停滞時間は半熟卵の場合、1時間15分。しかし生卵は2時間半、固ゆで卵に至っては3時間15分かかります。(いずれも100gあたり)
卵白は透明ですが、加熱すると白くなります。これはタンパク質の構造が変わるためです。構造が変わるとき、表面積が多くなります。すると消化酵素が働きやすくなり、消化が良くなるのです。ということで消化の良さから言うと、半熟卵が圧倒的に優位に立ちます。
では固ゆではどうでしょうか。実は加熱し過ぎると、水に溶けない部分が表面に出てきてしまいます。すると消化酵素が働きにくくなるのです。そのため、固ゆで卵は消化がゆっくりになります。減量中ならアリかもしれません。
半熟卵はつくりかたが難しいのですが、これもヨーグルティアを使えば楽勝です。オプションの「温玉スタンド」の上に生卵を載せ、内容器にセットしてお湯を600mlほど注ぎます。そして外ふたを閉め、温度を65℃にセットします。卵が2個なら15分、4個なら30分に時間をセットすればOK。最後に水で冷やして完成です。
卵にはほかの食材に少ない「イオウを含むアミノ酸」が多く、アミノ酸のバランスを整えてくれる働きもあります。昔と違ってコレステロールを気にする必要もなくなりました。よりよい健康のために、ぜひ一日1~2個は温泉卵を食べるようにしましょう。
By コイキングス株式会社